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品質保証への道しるべQA Navi

QAリードPJ事例

2024.11.19

「品質の確からしさ」を説明するということ:説明責任と向き合ったプロジェクトの事例

テスト業務に携わると、品質の重要性が語られる場面は多々あります。

プロジェクトとしては、不具合の検出率、不具合傾向の分析など色々なアプローチをもって品質の確からしさを証明していくことが求められます。
私も以前、品質分析の担当としてデータを提示し、プロジェクトの進捗の判断やときに立て直しなどに使用していただいた経験があります。

しかし、とあるプロジェクトでは「品質の確からしさ」を説明する必要があり、文字通り品質保証の活動自体を「説明する」ことの意味を学びました。
今回、この経験を振り返りたいと思います。

この案件は既存サービスのリプレイスの案件で、クライアントのご要望として以下が求められていました。
 ・リプレイス前の要件を満たしていること
 ・さらにはサービスが向上していること
 ・利用上不備がないこと(離脱者を生まないこと)

クライアントとはまだ信頼関係を構築しきれていない状況もあってか・・
通りいっぺんの進捗報告やテスト結果報告だけはなかなか納得していただけるものではなく・・テスト活動の確からしさの説明を求められました。

QA担当として「どのように品質を作り上げていくのか」「なぜリリースできる品質に達している」と判断するのかなど・・折々説明を求められる場面があり、QA自身の見解を伝えていくといったところが求められ・・
正直にいうと厳しさと難しさを感じました。。(自分の未熟さゆえのことなのですが・・)

課題:数字では語りきれない品質


テスト結果や不具合発生率のグラフだけでは、クライアントの納得をなかなか得られず・・
「判断軸になるこの数値の根拠は?」「想定外の条件で動く保証は?」と次々に深掘りされ、根拠を説明しても考え足らずのところはさらに突っ込まれる結果に何度も遭遇・・
その都度頭を抱えました。

その一方で考えを深めるうちに「品質の確からしさ」は単にテスト実施の結果で証明するものではなく、プロセス全体への信頼感にかかっているということに気づかされました。

つまり、 こうした詳細を含めて、品質を「語れる」必要があったのです。
 ・どんなテスト戦略を立てるのか
 ・なぜこのようなテスト設計をしたのか?
 ・なぜこのようにテストケースを記載したのか?
 ・どなたがどのようにテスト活動の成果物について確認を行ったのか?

解決への道のり


謀らずしてですが・・このプロジェクトでは以下の取り組みを地道に進める中で解決の糸口になっていきました。

1.プロセスの可視化
①テスト計画の作成
-「何をテストするのか」「どんなタスクに取り組むのか」「どんな成果物を作成するのか」を明確にしクライアントとすり合わせる。

②全てのテスト仕様書を文書化、レビュー履歴の記録
-これにより、どの段階で何が行われたかを追跡可能にしました。

2.リスク分析の徹底
-顧客が「想定外」と感じるリスクシナリオを抽出し、それぞれに対する対応策に応じてテストシナリオを提示しました。
(参考例):「サーバーが30分間停止した場合に、サーバーダウンのメッセージが表示され復帰後作成途中のデータが保持さてている」といったシナリオを実施

3.シナリオテストの充実化
-「百聞は一見に如かず」とは言いますが、開発が終盤にならないことにモノは出てこないのでなかなかクライアントの懸念は消し去れないといった状況でもありました。
このためシナリオテストを早めに提示することで達成すべきゴールを共有、クライアントに安心いただけるように心がけました。

4.数値による見える化 
-前章で「品質の確からしさ」は数値だけで語れないとは言いましたが、やはり・・数値を提示していくことは大切です。
ただこのプロジェクトでは、テストの実施件数、バグの検出数、バグの検出率、不具合の傾向を見える化した後、クライアントと議論していくことで数値の信頼性をともに作っていき、最終的に提示する数値にも納得感を持たせることができました。

「確からしさ」「納得感」が求められるプロジェクトにおいて


このプロジェクトの事例で、品質管理の仕事は単に良いものを作るだけで終わらないということ。むしろ、どんなに素晴らしい成果物であっても、その「確からしさ」を説明できなければ、信用を得ることは難しいことに気づかされました。

クライアントに対しての貢献は、技術力とテスト実績にとどまらず、さらには「品質についていかに説明ができる」にかかっています。

だからこそ、品質の「確からしさ」の追求と言語化、見える化はこれからより一層求めらるものになってくるのではないかと予想しています。

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