2024.11.15
急がば回れ:コストとデリバリーを気にするな「品質」も一緒に考えて
現代のビジネス環境では、「スピード」や「コスト効率」が何よりも重視される傾向があります。
特に製品やサービスのリリースを急ぐ場面では、品質の追求が後回しにされがちです。
しかし、「急がば回れ」の精神を忘れてはいけません。短期的な成果を優先しすぎると、後に大きな問題を招く可能性があります。
この記事では、「コスト」「デリバリー」「品質」の3つをどうバランスよく追求すべきか、その重要性を考えます。
コスト削減と納期短縮のリスク
製品やサービスの開発現場で「コストを削る」「納期を縮める」ことが強調されるのは、競争力を維持するためには当然の流れです。しかし、その結果、次のような問題が発生することがあります
顧客満足度の低下:
問題に気づかずリリース・納品してしまい、後からユーザーの不満やクレームが頻発する。
修正コストの増加:
リリース・納品後に問題が発覚すると、予定していない期間に修正作業を進めるのでデリバリーが遅れ、場合によっては顧客を失うリスクも。(予定していない費用の持ち出しもありますよね)
これらは、「スピード優先」で動いた結果、後戻りが必要になり、結果的に大きなコストを払うことになる典型例です。
品質を軽視した先に待つ「遠回り」
「スピードを優先して動いたとしても、後から品質は改善できる」と考える方も多いかもしれません。
しかし、後から修正するコストは、最初から品質を確保しておくコストの数倍以上に膨らむ場合があることをご存じでしょうか?
欠陥住宅が建て直しが求められるのと同じことです。
とりあえず見通しなしでいきなり開発してみた・簡単なプロジェクトだから品質なんて考えなくてもOKみたいな進め方されていたりしないでしょうか。
私もかつて、無軌道に進むプロジェクトがどうにもならずとん挫し放出された経験があります。
何人かはその現場から去っていきました。
そのような進め方で無事にプロジェクトが終えられることができてきたのなら、それは偶然にも運がよかったのです。
このため実は・・面倒でも、簡単にみえても、まず品質の目標と計画を策定し計画に従い品質をコントロールすることがプロジェクトを守るのにとても大切なことです。
心理的安全とゴールまでの見通し
開発過程で品質をしっかり固めていくと、「守るべき具体的な品質」が自然と見えてきます。
それをプロジェクトメンバー全員で共有することで、チーム全体で共通の品質に対するイメージを持ちやすくなります。
これにより、不安が軽減されゴールまでの道筋が明確になります。
「何を目指すのか」がみんなが分かれば、スムーズにプロジェクトは進んでいきます。
「急がば回れ」:QCD3要素を同時に考慮する方法
「コスト」「デリバリー」「品質」はトレードオフの関係に見えますが、実はこれらを同時に考慮するアプローチが、最終的には最大の成果をもたらします。
1.最低限の品質基準を定義する
品質は「高ければ良い」わけではありません。
「コスト」と「デリバリー」を阻害しない「必要最低限の品質」を明確にしたうえで
プロジェクトによっては顧客とすり合わせ、それを守ることを優先します。
2.早期に問題を発見する仕組みを構築する
テストやレビューを工程の後半に集中させるのではなく、設計や開発の初期段階から
「品質の種」を 埋め込むことで、後戻りを減らします。
*これは別途「V字モデルにおけるテスト」の記事で詳細をご説明します。
3.「スピード」と「精度」を両立するツールを活用する
アジャイル開発やCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)といった手法を活用し、小さな単位で品質を保証しながら、素早いリリースを実現します。
4.全員が「品質」に責任を持つ文化を育てる
QAエンジニアだけに頼らず、プロジェクト全体で品質に対し当事者意識を持つ文化を作っていくこと。
私作る人、あなたチェックする人といった意識の壁を取り除くことでお互いゴールに向かい協力しあう。これにより効率をアップすることができます。
品質は「遠回り」ではなく「近道」
品質を確保することは、一見手間のかかる作業のように思えるかもしれません。
しかし、それは「急がば回れ」の精神そのものです。初期段階で適切に品質を考慮すれば、結果的にコスト削減や迅速なデリバリーにもつながります。
あなたのプロジェクトやビジネスにおいて、「急がば回れ」を意識し、コスト・デリバリー・品質のバランスを最適化する取り組みを始めてみませんか?
品質は信頼の礎であり、成功の最短ルートなのです。
QAマネージャーをプロジェクトの初期段階から参画させることもとても有効的な手段の一つです。
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